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このごろ見たアレコレ

 前回の『ローグ・ワン』はベイズとチアルートに1億点!
 につづいて、最近みたアレコレについて、短い感想を。
 ネタバレ満開ですお。

 (畳みます)

 今年に入ってから見た物から、ちょいちょいと。

①ヒッチコック/トリュフォー
 '62年にトリュフォーがヒッチコックにロングインタビューをして、それを'66年に本にしたものが元。っていうか、そのときのインタビューの録画(なんと、というか、当たり前というか、フィルムで撮っていたのね)をもとに、構成した物。
 なので、基本は『映画術』って本を読めば書いてるんですが、これにウェス・アンダーソンやスコセッシなどのインタビューをプラスして、影響をみせたわけ。
 ヒッチコックの方法論は明快で、ねらいも明確で、そこがわたしは好きなんですけど、明快で明確にやろうと思ってもやれないのが現実というもの。その辺が才能なのね〜、というおはなし。映画スキーさんにはおすすめ。

②David Bowie is... 
 ロンドンのV&A美術館で行われた『David Bowie is...』のクロージングナイトの講演会を中心に、デビッド・ボウイについて語る会の映画。
 改めて見ると、ボウイの「以前」と「以後」で世界は変わったんだな、と。
 今、ミュージシャン男性がメイクしようが派手な衣装着ようが「普通」なわけですが、ボウイが最初にそれをした時代にはエポックメイキングであった、と、すごいことだったんだと伝わってきました。やっぱり、星に帰るのがちょっと早かった気がする。

③ザ・コンサルタント
 「ベンアフの死んだ目がぴったりな映画」と言われて見に行きました。
 高機能自閉症の殺し屋、という不思議な設定を、ちゃんと描けていました。
 「障害児の兄弟」というのが気になるわたくしですが、そのへんがちゃんとどころか、ガッツリ描かれていてよござんした。

④沈黙 サイレンス
 構想以来28年ごしに結実、というだけあって、「日本」の描写もぬかりなく(アン・リーさん、いいロケ地などご協力いただきありがとうございます)、ていうか、予算があるから「貧しい漁民の着たきりの服」がきっちり着たきり感出てたり、「もう、なんか、お金も知恵も技術もない日本で歴史物作る必要ないな、アハハ」って感じにすら。
 内容も原作を読んだのがはるか前なんですが、そのとき感じた息苦しさ、疑問を再度突きつけられるようで、良かったです。
 役者がみなぴったりでした。
 アンドリュー・ガーフィールドのロドリゴも、キチジローの窪塚洋介も、井上のイッセー尾形もはまり役。いっとき渡辺謙という話もあった通詞が、浅野忠信になりましたが、これも、「シニカルに見ながらも、どこかになにかがある」という一歩引いた役どころが浅野忠信らしかったかな、と。漁村の信者のひとりモキチ役は塚本晋也でしたが、「ただの盲信」に見せない精神性が感じられて、これも素晴らしかった。
 ていうか演出って大事といまさらながらに。名優により以上のものを出してもらうの大切。
 「信じなくても生きていける」現代人のわたしには、理解はできても共感は難しい。プロテスタントの勃興に対抗するカトリックの焦り。新旧宗教戦争など経て、日本ではキリスト教などの宗教弾圧を経て、「宗教的権威よりも世俗の権威」と変化している時代の狭間でもあるんだなと。中世から近世への転換点です。
 で、あらためて、信仰って何だろうという疑問を抱きながら。

⑤お嬢さん
 「レズビアン」「植民地」と、描きようによっては「あーあ」となる題材だけにどうなるだろうとドキドキしながら見に行きましたが、○でした。
 特に原作から大胆に変更したというラストがスッキリ。
 サラ・ウォータースの『茨の城』を原作に、ということですが、作中もちょっとだけ朗読が出てきましたが『悪徳の栄え』がキーなんでしょうね。で、マンディアルグの『城の中のイギリス人』が、18世紀の小説のもったくたしたのを近代化したものだったとしたら、この『お嬢さん』は、そこに『城の中』にはなかった、「ヴィラニスとしてのジュリエットの自立」を加えているんじゃないかなと。そこがとても良かったと思います。
(そう考えると、お嬢さまと珠子の日本語の上手さの差がついた方が関係性が描写できるから、少なくともお嬢さまの日本語は吹き替えるか、もっと練習すべきだったな。コンセプトを裏切るレベルで日本語に難ありなので)

⑥哭声
 俳優陣がみなさん達者です。特に子役ちゃん、すごい。自然だし、憑依されてからの態度の変化も上手い。
 この映画、終わってから考えると、かなり序盤でPOVが曖昧になってるのね。つまり、「客観的な視点の映像」なのか、「誰かの目からみた映像」なのか、リアルの基準が見えなくなってるのです。こわい。
 キリスト教ホラーっぽいところと韓国の土着信仰のミックス具合がなんとも言えず恐いのよ。さらっと祈祷師呼んで来ちゃうのね。
 この祈祷師さんの信頼できるんだかインチキくさいんだかがいい。
 そして、國村隼さん。途中の表情の変化ひとつで「あれ?」と観客をミスリードさせる。すごい。何の台詞も言ってないのにわからせちゃう。
 祈祷師と國村さんの祈祷合戦?もシュール。
 ラストのベタな表現はどうかなとも思ったけど、まあ、あれも助祭のイマジネーションだからいいや、と。
 ここでわたしも怪談をひとつ。実家が青森県の中でも弘前市なので、そこまですごい田舎じゃないと思ってたんですが、30年ぐらい前、知人の娘さんの様子がおかしくなり、まあ、私たちは「ノイローゼなんじゃないの? 病院行けば?」と他人事なので思っていたのですが、すぐにはかばかしい効果がでなかったのか、祈祷師(地元では「神様」ってよんでた。初老の婦人)を呼んで祈祷したんですって。そしたら、娘さんの様子が一変し、「なんでこんな者(祈祷師のこと)を呼んだ」とか「わたしは○○(近所の地名)の稲荷だ」とか言い始め、祈祷につれてもがいたり暴れたりしたそうです(詳細は省略)。……結果的に良くなった(?)そうですが。
 興味深いのは、稲荷(狐憑きってこと?)なり何なりの憑きものとして言葉を発したり、反応したりするっていう芝居の役割を理解している感じです。「共感魔術」っていう言い方をしますが、どこかで共通理解があるんですね。オチは、「青森はディープ」です。いや、違う、『哭声』面白かったです。


⑦ウルフ・ワークス
 ヴァージニア・ウルフの生涯と三つの作品にインスピレーションを得た、ロイヤルバレエの作品です。
 なんと53歳のアレッサンドラ・フェリが復活です。フェリ姫のためには見に行かねば。
 もともと演劇的表現が素晴らしかったフェリですが、年月を経て、姫だった時代には表現できなかったような、人生の厚みや哀しみを表現していました。
 ロイヤルのモダンにしては芝居ぽくしすぎず、ほどほどの抽象化ができていて、ロイヤルの芸風(っていうな)に合っていたので無理感もなくよかったです。わかりやすさとモダンさは、振り付けや音楽にも一貫していて、とても調和がとれていました。
 ああ、日本がこんなにしみったれじゃなかったら、来日公演もあったんだろうなあ……と、ちょっと哀しみ。

⑧ムーンライト
 映像が非常に美しい。
 フロリダのドラッグ地帯の話なんだから美しいも何もなんだけども、美しい。
 色彩をかなり加工したということだけども、カット割りも含めて美しかったです。
 話の中身は「美しい」だけではすまない。ドラッグ、貧困、イジメ、同性愛……と重く絡まったものなんですが、情報量を絞り込み、エッセンスで語ったところも良かったです。
 説明しすぎず、余白を残す語り口がとてもよかった。
 今どきは「思わせぶりで議論をさせて盛り上げる」みたいな作品が、日本ではむやみにもてはやされていますが、「思わせぶり」ではないんですよ。ただ、全部言わないだけ。
 マッチョ思想って、あらゆる人を実は苦しめているんだけれども、特にギャングスタ文化ではそれがむき出しで、マッチョ(=ドラッグディーラーという仕事)を身につけた主人公・シャロンが、最後にそこから抜け出せるのかどうなのかという微かな希望が見えたところが良かったなと思いました。
 シャロンが初恋のケヴィンに再会したラストはとてもよかった。幸せになってほしいなと心から思いました。
 ていうか、同性愛についてはとても控えめだけどデリカシーある描写になっていて、大切だけども要素のひとつというか、「愛」とか「人間の生き方」の映画でした。
 かつて『カラー・パープル』が投げかけた問い、「人種差別の影で、その下部構造である『男女差別』『マチズモ』の問題を無視してない?」というのに、答えた映画だったなと思いました。

☆あとは、『キングコング』はノベライズを買いましたよ。それから、『グリーン・ルーム』をみて、在りし日のアントン・イエルチェンくんをしのびました。これからだったのになんということ。

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