と、いうわけで「ブロークバック・マウンテン」を見て参りました。
ネタバレ無し感想です。
予告から期待していた通り、とても映像の美しい映画でした。
空が広々として、淋しくてよい。
そして美しくも荒々しいワイオミングの自然……。
そんなこたぁ、わたしよりも上手に色んな人が書いてることですんで、はしょっておいて。
カウボーイなのに羊の番をしているところが、はじめの、衝撃でした。
あれだけの数の羊、回収する時とか大変だったろうなあ、と。
ひょっとしたら、スタッフ総掛かり、どころか監督、キャストに至るまで羊を追っかけたんじゃないかと「動物のお医者さん」みたいなことを想像してしまいました。でも、そういうチーム全体の一体感も自然に伝わってくる良い映画でした。
まず、若い俳優陣がとてもよかったです。
なるほど、ヒース・レジャー(イニス役)はこれで若手実力派No.1と言われるようになるでしょう。ジェイク・ギレンホール(ジャック役)もよかった。アン・ハサウェイ(ジャックの妻・ラリーン役)の演技にはびっくり。ほんとうに19歳? ミシェル・ウィリアムズ(イニスの妻・アルマ役)もいい。
キャラクターに「ぶれ」が全然かんじられないです。
まるで一つのお芝居のように完成された世界でした。
ほとんど「事件」が起こらないのに、緊張感がとぎれることがないなんて、すごい。
アン・リー監督の中に完成した映画のイメージ、そして脇役にいたるまで登場人物の生まれてから死ぬまでの詳細なイメージが確固としてあったのではないかと思えるほどです。パンフレットなどには「ディスカッションを重ねて」と書いてあったけれど、話し合ってその場で決めていくような要素はほとんどなかったのではないかと想像しました。もう、役者が「こうだと思う」と監督に正解・不正解をたずねるような世界じゃないかと。あまり喋らない人ですし。
そして監督の要求はとてつもなくきびしかったのではないかと。
あくまでも、勝手な想像ですが。
メイキングがちょっぴり見てみたい。
秘密、渇き、孤独。
簡潔にいうと、そういう映画。
ものすごく個人的な話なのに、深いところで普遍的なものにつながっている大きな映画です。
本当に無駄なところがありません。
ごく短い短編を、原作を損なうことなく豊かにふくらませた脚本もよかったです。
ラスト前のシークエンスから後は、もう、涙を抑えられませんでした。
そのうえ、あとからパンフレット(総力取材?ってかんじの詳細なもの)を読み返したら、思い出し泣きしてしまいました。……われながらびっくり。
一年ぶりに映画で人間に泣かされました。
(……それもどうだろう? 自分)
わかりにくいところのない映画。
そして、下手なところのない映画。
これだけの作品を見て、なおも反発する人はいるんだろうと思います。
抑制された表現で、核心をついています。だからこそ余計に「許せない」と、「保守的」なひとは危機感をかんじてしまうのだと思います。
わたしは感動すると疲れてしまううえに、一度見るとだいたいのカットを憶えてしまうので、よい映画であっても「また見たい」と思うことはあまりないのですが
(そういうのって人として問題があるような……)
これは、ぜひまた劇場で見たい、と思いました。
鑑賞したい、とおもったのです。
見終わった後に、とても「個人的な体験」をしたように感じる映画だったのが新鮮でした。
特にわたしに同性愛について個人的な思い入れがあるわけでもないのですが、そういうことではなく、内面に訴えかけてくるものがあったということですね。
……名作にしてもこれだけ泣いちゃったのは歳のせいなんだろうか、とも、ちょっぴり思うんですが、どうなんでしょう。
ちなみに「萌え」とかそういう映画ではありません。みじんも。これ以上付け足す物は何もない、というか。
それにしても、この感想、ほんとに「感想」で、ごめんなさい。
ディテールが命の映画なので、ディテールにふれつつ書くと、あとから見る人は楽しめないでしょうし。ずいぶん後になってから、また書こうかな、どうしようかな……というところ。
2005年9月17日付のこのブログで、ヴェネツィア映画祭金獅子賞をとった話を書いてから、半年。ようやくみることができました。いい作品でよかった♪
それから半年前のその日記では、結構シニカルに書いていたクルーニー兄貴の監督っぷりですが、今では感服しております。だって兄貴、ちゃんとしてるんだもの。真面目で、かつ鈍くもないというか。苦労人なのか? 「ニューズウィーク」で毎年恒例の「アカデミー監督賞ノミネート監督による座談会」、過去5年分くらい図書館でみようかな。などと、ついでに思いました。